今回は、尿漏れ予防に有効な骨盤底筋体操についてご紹介していきたいと思います。
目次
- 骨盤底筋とは?
- 骨盤底筋と尿漏れの関係
- 骨盤底筋体操の行い方
- ワンポイントアドバイス!
- 運動の難易度設定
骨盤底筋とは?
まずは、骨盤底筋とは体のどこについている筋肉なのかを説明します!
骨盤底筋とはその名の通り、骨盤の”底”についている筋群のことを指します。
構造的には、骨盤の底を包むように付着しており、骨盤の中にある臓器を支えるハンモックのような形をしています。
そして、主な働きとしては臓器の支持や腹腔内圧の維持、排尿の抑制、抗重力下での姿勢の維持に関与すると言われています。
筋肉は”表層”についているアウターマッスルと”深層”についているインナーマッスルに分けることができ、骨盤底筋はインナーマッスルに属する筋肉とされています。
このインナーマッスルは、主に関節の安定や内臓の安定に寄与しており、普段から私たちが、意識して動かすことはあまりありません。
ですが、インナーマッスルは、関節を動かすうえでの”土台の安定性”に関係するため、手足を動かすうえで、インナーがしっかり働くことがとても重要となります。
例えば、ヒトが脚を前に振り上げようとしたときに、骨盤と体幹を固定するインナーマッスルがしっかりと働かないと、骨盤は不安定となります。ですので、骨盤の先に付く脚が空中に浮いたとき、骨盤が動いてしまい、脚がうまく上げられなくなります。 <下記図参照>
ですので、骨盤底筋を含むインナーマッスルはヒトが体を動かすうえでも、とても大事な存在であることがわかります。
それでは、ここからは今回のテーマである尿漏れに対して、骨盤底筋がどのように関与するかについてご説明いたします。
骨盤底筋と尿漏れの関係
尿失禁の種類としては以下のものが挙げられます。
尿失禁の種類
☑腹圧性尿失禁
咳をしたり、なにか重いものを持ち上げたときに腹圧がかかり尿が漏れる
☑切迫性尿失禁
脳卒中や脊髄障害など中枢障害により過活動性膀胱(畜尿時に膀胱が勝手に収縮する)となり、急に尿意が生じることで尿が漏れる
☑溢流性尿失禁
前立腺肥大など膀胱と尿道の間の組織・器官に異常があると、尿が出にくくなり残尿感が生じる。そして、膀胱内に尿が溜まりやすくなり、限界を超えると尿が漏れ出す。
☑機能性尿失禁
排尿機能に問題はないが、認知機能の低下や移動能力の低下により尿失禁をしてしまう。
☑外傷性・術侵襲に伴う尿失禁
前立腺癌に伴う術侵襲や出産に伴う知覚神経障害、骨盤底筋群の機能障害により尿漏れが生じやすくなる。
この上記の尿失禁すべてに対して、骨盤底筋体操は効果があり、特に腹圧性尿・切迫性尿失禁に関しては「女性下部尿路症状診療ガイドライン」でも推奨グレードA(行うように強く推奨される)とされており、その有効性は明白となっています。
骨盤底筋の働き
続いて、これら尿失禁に対して骨盤底筋がどのように働くかについてご説明いたします。
主に、骨盤底筋は膀胱から排出された尿が尿道を通って外へ排出されるまでの道を閉ざす役割があります。
一般的に私たちが、尿を我慢しているときに働いているのは、外尿道括約筋といわれる筋肉であり、この筋肉は随意筋といわれる、自らの意思で動かすことができる筋肉に該当し、骨盤底筋群に含まれる筋肉です。
この外尿道括約筋を含む骨盤底筋群は、前述したとおり、普段から意識して動かす筋肉ではないため、加齢に伴い衰えやすい筋肉といわれています。
また、女性の場合だと出産に伴う筋肉・周囲組織の損傷、男性の場合だと前立腺癌に対する手術の影響で、骨盤底筋群の機能が落ちることが多いため、動かし方を知っていた方がよい筋肉だと思います!
ここからは、骨盤底筋トレーニングの行い方についてまとめていきます!
骨盤底筋体操の行い方
Step1 まずは筋肉の位置を把握しましょう!
文章の序盤でまとめた通り、骨盤底筋は骨盤の底にハンモックのようについています。まずは、自分の身体を触りながら、骨盤のどのあたりに筋肉がついているかを想像してみましょう!
実際に、筋肉を触るときのポイントとしては、お尻の下の坐骨結節といわれる、骨のでっぱりを見つけて、そこから内側に指をずらした際に触ることができるのが骨盤底筋群です。
Step2 骨盤底筋を動かしてみましょう!
これがとても難しいです!!!
大事なのは動かす際のイメージで、実際の臨床では以下のようなキューイング(声かけ)が行われます。
①陰部を体の中に引き上げるように
②骨盤底筋をスカーフと見立ててスカーフを引き上げるように
③尾骨から肛門、膣、尿道としめて、おへそまでチャックをしめるように
④硬くなった陰茎を引き上げるように
このどれが、最もわかりやすいかは、人それぞれでありますので、1つ1つ試してみるのも良いかなと思います
個人的には④が1番感覚が掴みやすかったです。
収縮する感覚が掴めたら、収縮を繰り返し練習して、段々慣れてきたら朱裕淑を持続する練習を開始してみましょう。持続時間に関しては、はじめは3~5秒ほどで大丈夫です!
ワンポイントアドバイス!
続いて、なかなか収縮する感覚が掴めなかったり、持続が難しくてできない
という方向けに、ワンポイントアドバイスです!
もし、収縮が難しければ以下の2つの方法を試してみてください!!
Ⅰ. 股の下に丸めたタオル(直径 4-5cm程度)を入れる
Ⅱ. 片方の股関節を曲げた状態で行う
この2つの方法を行うことで、収縮す感覚が少しつかみやすくなるはずです!是非やってみてください!
運動の難易度設定
最後に運動の難易度設定の方法に関してです。
骨盤底筋体操の目的は、日常生活において尿漏れを予防することにあるため、筋肉の収縮は寝ている状態(背臥位)から初めて、座位⇒立位と徐々に体位を変換していきましょう。
背臥位に比べて立位では、姿勢を維持するためにインナーマッスルを使うため、筋肉の随意的収縮が難しくなります。
そして、立位での収縮がうまくいくようになったら、次は動作を行いながらの収縮練習を行いましょう。
具体的には、歩行や起立など日常的に行う動作を骨盤底筋を収縮させながら行う練習をしてみましょう。
起立動作は特に腹圧がかかりやすいため、特に尿漏れが多いと言われております。なかなか、動きながら骨盤底筋を動かすのは、難しいのですが繰り返し練習をしてみましょう!!
以上が、尿漏れ予防のための骨盤底筋体操に関するご紹介でした。
最近では、前立腺癌診療ガイドライン や女性下部尿路症状診療ガイドラインなどでも、実施が推奨されている骨盤底筋体操ですので、是非、尿漏れが気になる方は実践してみてください!
当院ではピラティスを用いた骨盤底筋をはじめとするインナーマッスルのトレーニングをご提供しています。
尿漏れが気になる方、体の歪みが気になる方は是非ご相談ください!
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