産後で育児中の膝の痛みはなぜ起こる?理学療法士が教える正しい整体と改善法

「出産してから膝が痛い」「抱っこやしゃがみ動作でズキッとする」
——そんな悩みを抱える産後ママは少なくありません。

実際に、産後の女性の約3〜4割が膝の痛みを経験すると報告されています(O’Sullivan et al., J Women’s Health Phys Ther, 2015)。
育児による負担に加え、出産をきっかけに体のバランスが変化していることがその背景にあります。

この記事では理学療法士の視点から、「なぜ産後に膝が痛くなるのか」「整体や運動でどのように改善できるのか」を科学的根拠をもとに解説します。


目次

出産後から膝が痛くなった…その痛み、実はよくあること

「妊娠中は平気だったのに、産後になって急に膝が痛くなった」
そんな声を多く聞きます。

特に以下のような場面で痛みを訴える方が多いです。

  • 抱っこしたまましゃがむ
  • 階段を降りる
  • 床から立ち上がる
  • 授乳中の姿勢保持

これらの動作では膝関節に体重の2〜3倍の負荷がかかることがあり、産後の体ではその負担を十分に支えられないのです。

「よくあること」ではありますが、「放置してよいこと」ではありません。
産後の膝の痛みは、早期に整えることで確実に改善が見込める症状です。


産後の膝の痛みが起こる4つの主な原因

膝の痛みの背景には、単なる筋肉疲労ではなく「産後特有の身体変化」が関係しています。
理学療法士の臨床と文献によるエビデンスを踏まえると、主に次の4つの要因が挙げられます。


① ホルモン「リラキシン」による靭帯の緩み

妊娠期〜産後しばらく分泌されるリラキシンというホルモンには、関節や靭帯を緩める作用があります(Marnach et al., Am J Obstet Gynecol, 2003)。
出産に必要な骨盤の可動性を保つ反面、膝関節や足関節の支持力も低下させます。

特に膝の内側を支える内側側副靭帯や、膝蓋骨の安定性に関わる靭帯群が緩むことで、膝に“グラつき”が生じやすくなります。


② 骨盤・股関節の関節位置の変化

出産後は骨盤底筋の緩みや産前姿勢の継続によるもの、そして先に説明したリラキシンによる骨盤の支持能力の低下が生じます。それに伴い下半身全体の位置関係も変化します。
例として産後でよくみる骨盤が前傾して(反り腰姿勢)股関節が内にはいると、つられる様に膝が内側に入り、膝の関節への圧縮ストレスが増加します。

この「骨盤の歪み → 膝の痛み」という流れは、整体で最も重視すべき連鎖の一つです。


③ 筋力低下(特に大腿四頭筋・中殿筋)

妊娠・出産により活動量が減少すると、下肢の筋量は平均で10〜20%低下します(Foti et al., Clin Biomech, 2000)。
特に膝関節を安定させるもも前の筋である大腿四頭筋や、お尻の横にある骨盤を支える中殿筋の筋活動が低下すると、膝関節への力のかかり方が偏ります。

「筋肉が弱くなったから痛い」のではなく、負担が局所に集中する状態が続くことで痛みが出やすくなります。


④ 育児動作による繰り返しストレス

産後ママが日常的に行う「抱っこ」「授乳」「しゃがみ」「おむつ替え」などは、膝関節の曲げと荷重を繰り返す動作です。
抱っこの際に足幅が狭いと、膝が内側に入り込み、外側関節が圧迫されるストレスが増えます。

また、育児中は自分の姿勢よりも赤ちゃんを優先しがちで、体幹の支持を使わず膝で支える動作が増えるため、膝への負担が蓄積します。


骨盤の歪みと膝の痛みの関係|整体で改善が見込める理由

膝の痛みの多くは、膝そのものよりも「上(骨盤・股関節)」の問題から生じます。

骨盤が前傾または内に捻じられた状態では、下肢軸が乱れ、膝の動きは内反・内旋方向へ引っ張られます。
その結果、膝関節の荷重バランスが崩れ、片側の関節面にストレスが集中します。

整体では、

  • 骨盤・股関節の位置修正
  • 関節の可動性改善
  • 筋膜リリースによる全体の位置調整

を行うことで、膝にかかる余計な負担を軽減できます。

さらに、理学療法士による整体では、単に「歪みを整える」だけでなく、動作・筋機能の再教育を同時に行うため、再発予防にもつながります。


産後膝の痛みを放置するとどうなる?

痛みを我慢して育児を続けると、膝をかばう動作が習慣化し、代償的な姿勢や歩行パターンが身についてしまいます。

これにより以下のような悪循環が生じます。

  • 膝への局所ストレスが慢性化
  • 股関節・腰部への負担増加
  • 筋力低下が進行し、回復が遅れる

海外の研究(Van Middelkoop et al., Arthritis Care Res, 2013)でも、膝痛を早期に評価・介入した群のほうが改善率が高いことが報告されています。
つまり、「そのうち治る」は誤解であり、早めの整体・運動療法が予後を左右します。


当院の整体×運動療法による改善ステップ

▫️ステップ① 評価

骨盤・股関節・膝・足部までの荷重ラインを解析し、どこでストレスが集中しているかを明確化します。

▫️ステップ② 整体

骨盤の位置と関節の可動性を整え、膝の負担を軽減。
関節包・筋膜・靭帯の緊張を緩め、膝がスムーズに動く状態をつくります。

▫️ステップ③ 運動療法

  • 中殿筋・大腿四頭筋・ハムストリングのバランス強化
  • 骨盤底筋や体幹の安定性向上
  • 股関節主導のしゃがみ動作トレーニング

▫️ステップ④ 生活動作修正

抱っこ時の足幅・しゃがみ方・立ち上がり方を指導し、再発しない体の使い方を習得します。

整体で整え、運動で支える。
この二段構えが、産後の膝の痛みを根本から改善する鍵です。


自宅でできるセルフケアと膝の使い方

  • 股関節からしゃがむ練習
     → 膝ではなく股関節を軸に曲げ、体幹を前傾させることで膝への負担を軽減。
  • 抱っこのときは足幅を広く安定させる
     → 体重を分散し、膝の内反を防ぐ。
  • 壁スクワット
     → 骨盤と膝をまっすぐに保つ練習として有効。
  • 太ももの前側ストレッチ
     → 大腿四頭筋の柔軟性を回復し、膝蓋骨への牽引ストレスを軽減。

※セルフケアはあくまで補助です。痛みが強い場合は自己判断せず、理学療法士による整体や運動療法を受けることをおすすめします。


よくある質問(Q&A)

Q1. 産後どのくらいで整体を受けられますか?

A. 体調が安定していれば、産後1ヶ月以降から施術可能です。帝王切開後もご相談ください。

Q2. 整体だけで治りますか?

A. 軽度の膝痛は整体で改善が見込めますが、再発予防には運動療法(筋トレ・動作修正)の併用が効果的です。

Q3. 膝サポーターや骨盤ベルトは必要?

A. 一時的なサポートとして有効ですが、長期使用は筋力低下を招くため注意が必要です。

Q4. 膝以外の場所も痛いのですが?

A. 骨盤や股関節の影響で痛みが波及している可能性があります。全身のバランス評価を行うことで根本的に改善できます。


まとめ|「産後膝の痛み」は整体と正しい動作で根本改善できる

  • 産後膝の痛みは、リラキシンによる靭帯の緩みや骨盤の歪み、筋力低下が主な原因
  • 整体で骨盤と関節を整え、運動で支えることで根本的な改善が可能
  • 放置せず、早めのケアが育児の快適さを大きく変える

「産後だから仕方ない」と思っていませんか?
痛みには必ず原因があります。
理学療法士による整体で、その原因を見極め、痛みのない育児を取り戻しましょう。

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