疲れにくい身体を手に入れるために必要な”筋緊張”について

あなたは疲れやすさに悩んでいませんか?
「すぐに疲れる」「長時間立っていられない」「姿勢を保つのがつらい」——。
こうした悩みの原因の一つに、筋緊張(きんきんちょう)の低下があります。
筋緊張とは、体を支えるために常に保たれているわずかな筋肉の張りのこと。
この筋緊張が弱いと、身体は常に“ゆるんだ状態”になり、疲労感やだるさを感じやすくなります。

この記事では、「筋緊張が低い人に起こりやすい問題」と、「ピラティスをはじめとしたエクササイズで筋緊張を整える方法」を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
1. 筋緊張とは?
筋緊張(muscle tone)とは、私たちが何もしていないときでも、筋肉に常に存在するわずかな張力のことです。
これは、立つ・座る・呼吸するなどの基本的な姿勢を支えるために欠かせない働きで、神経と筋肉のバランスで自動的に保たれています。
たとえば、立っているときに体が自然にまっすぐ保たれているのは、この筋緊張が適切に働いているからです。
筋緊張が高すぎると「こわばり」や「肩こり」を感じ、逆に低すぎると「支えられない」「疲れやすい」といった問題が起こります。
筋緊張が高いことによる肩こりや腰痛などは比較的想像しやすい症状だとは思いますが、実は筋緊張の低下により体に張り感などを訴える人も多くいらっしゃいます。
2. 筋緊張が低い人に見られる特徴
- 立っているとすぐに足や腰が疲れる
- 猫背・反り腰など姿勢が崩れやすい
- 関節が柔らかすぎて不安定
- 集中しても姿勢が維持できない
- 慢性的なだるさ・倦怠感がある
筋緊張が低いと、体を支えるための「自動的な張り」が足りないため、外側の大きな筋肉(アウターマッスル)で無理に支えようとします。
その結果、動きに無駄な力が入り、長時間動くとすぐに疲れてしまうのです。
例えば、「吊革につかまっているだけで肩が痛くなる」「携帯電話で電話をしているだけで腕が痛くなる」などの症状も実は低緊張が原因かもしれません。
また、筋緊張が低い方は神経系の働きが弱まりやすく、脳から筋肉への「動け」という信号が伝わりにくくなることもあります。
これが、「気力はあるのに体がついてこない」「姿勢を保てない」と感じる原因です。
3. 筋緊張を高めるための3つのアプローチ
筋緊張を「強くする」というよりも、適切なバランスに整えることが大切です。
そのためには、次の3つのステップが効果的です。
① 呼吸を整えて神経系を活性化する
筋緊張は神経系によってコントロールされています。
特に自律神経の影響を強く受けるため、自律神経をコントロールすることは筋緊張をコントロールするうえでの第一歩となります。
例えば、呼吸には大きく分けて「腹式呼吸」と「胸式呼吸」といった2つの呼吸様式があります。
基本的に、呼吸はリラックスるために行うことが多いため、腹式呼吸を優位にゆっくりと深い呼吸を行うことが多いですが、交感神経を優位にしたい場合は、胸と背中を使った胸式呼吸を意識することも有効であると考えています
~方法~

② コア(体幹)を意識したピラティスエクササイズ
筋緊張が低い人は、体幹深部筋(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋などといったインナーマッスル)が働きにくい傾向があります。
ピラティスでは、これらの筋肉を「ゆるやかに使う」練習を行い、体の中心から自然な張りを取り戻します。
◆ バード&ドック
- 四つ這いになります
- 息を吸って準備をして、吐きながら対角線上にある手足を伸ばしていきます
*腰が過剰に反らないように、お腹に力を入れながら行いましょう - 息を吸い、吐きながらゆっくり手足を下ろします
- 5〜10回繰り返しましょう

◆ ペルビックカール
- 仰向けに寝て膝を立てる(足は腰幅)
- 息を吸って準備し、吐きながら骨盤をゆっくり持ち上げる
- 背骨を1つずつ床から離し、肩〜膝が一直線になるまで上げる
- 息を吸い、吐きながらゆっくり下ろす
- 5〜10回繰り返す

腰ではなく、お腹とお尻の中心で支える意識を持ちましょう。
「支える力」を丁寧に感じ取ることが、筋緊張を高める第一歩です。
③ 重力を感じながら姿勢を整える
筋緊張を適切に保つには、「重力に逆らわずに支える感覚」を育てることが大切です。
力むのではなく、骨格の上に体をバランスよく積み重ねるように立ちます。
◆ 壁立ちエクササイズ
- 壁に背中をつけて立つ
- 後頭部・肩甲骨・お尻が軽く壁に触れるようにする
- お腹を少し引き上げるようにして呼吸を5回繰り返す
- そのまま一歩前に出て、同じ姿勢をキープ

これを毎日1分でも続けると、体が「まっすぐ立つ」感覚を覚え、自然と筋緊張が維持できるようになります。
4. ピラティスが「低筋緊張」に効果的な理由
- 脳と筋肉の神経回路を再教育できる:動作を意識的に行うことで、使われていなかった筋肉に再び信号を送る。
- 呼吸と連動して内側から支える力が育つ:横隔膜や骨盤底筋を呼吸に合わせて動かすことで、自然な張力が回復。
- 力みではなく安定を学べる:「頑張って支える」ではなく「軽く支える」感覚を身につけられる。
筋緊張を無理に高めようとするトレーニングではなく、神経と筋肉の協調性を取り戻すこと。これが、ピラティスが低緊張体質に効果的な理由です。
特に、ピラティスマシンを使用したマシンピラティスでは、マシンが身体動作の補助を行ってくれるため、過剰なアウターマッスルの収縮を抑制して、より効果的にインナーマッスルを鍛えることができます。
5. 体験レッスンで「適度な張り」を感じてみよう
体のだるさや姿勢の不安定感は、単なる筋力不足ではなく、「筋緊張のコントロール」に原因があるかもしれません。
ピラティスでは、力を入れすぎず、抜きすぎず、“ちょうどよい力”を体に覚えさせることができます。
当スタジオでは、低緊張体質・疲れやすい方に特化した体験セッションも行っております。
呼吸と姿勢を整えるだけで、身体の軸が安定し、日常の疲れも解消できるため、ぜひ体験してみてください!
まとめ
筋緊張が低い人は、努力や根性ではなく「神経と筋肉の協調性」を整えることが大切です。
ピラティスや呼吸法を通して、体の内側に“ちょうどいい張り”をつくることで、疲れにくく・姿勢が美しく・安定した体を取り戻せます。
自分の体を「感じる」ことから、すべてが始まります。