ピラティスは「科学」だけでは完結しない

― 講習会であらためて感じた、インストラクターの本質 ―
先日参加したピラティスの講習会で、とても印象に残った学びがありました。
それは、ピラティスは科学的根拠だけでは成り立たないということです。
誤解のないようにお伝えすると、エビデンスや解剖学、生理学が不要だという話ではありません。むしろ、科学的な理解はピラティスを安全かつ効果的に提供するための大切な土台です。ただ、それだけでは「人の身体を変える」ことはできない、というのが今回の大きな気づきでした。
ピラティスの現場で本当に必要とされるもの
実際のセッションでは、教科書通りにいかない場面が多くあります。
同じエクササイズ、同じキューイングをしても、
- すぐに感覚をつかめる人
- まったく違う場所に力が入ってしまう人
- 何を言われているのか分からなくなる人
反応は本当にさまざまです。
そこで重要になるのが、インストラクター自身の経験から生まれる「感覚」です。
自分がそのエクササイズを通して何を感じたのか、どこが難しかったのか、どんな声かけで変化が起きたのか。
そうした体験の積み重ねが、クライアント様に伝える言葉や触れ方の質を高めていきます。
「感覚」を伝えるのがインストラクターの仕事
ピラティスにおいて、インストラクターの役割は
「正しい動きを教える人」ではありません。
むしろ、
クライアント様が自分の身体を感じ取れるように導く人
だと感じています。
そのためには、
- どんな言葉なら伝わるのか
- どこに触れると気づきが生まれるのか
- 今は動きを変えるべきか、感じる時間を取るべきか
といった判断が求められます。
これらはマニュアルではなく、経験からしか育たない力だと思っています。
エクササイズ経験=感覚の引き出し
講習会で特に共感したのが、
「エクササイズの経験が増えれば、感覚の引き出しも増える」
という考え方です。
同じエクササイズでも、
- 今日は肋骨が動いた
- 別の日は腹部にしっかり力が入る感じがした
- 疲れているときは全く違う感覚になる
こうした体験を重ねることで、
「この人には、あのときの感覚に近いヒントが使えるかもしれない」
という引き出しが増えていきます。
インストラクターが多くのエクササイズを経験する意味は、
自分のためだけでなく、目の前の人のためなのだと、あらためて感じました。
人の身体は千差万別。正解は一つじゃない
もう一つ、共感できたことが
人の身体は本当に千差万別であるということです。
年齢、性別、体型、既往歴、生活習慣、運動経験。
同じ姿勢の悩みでも、その背景はまったく異なります。
だからこそ、
「このエクササイズをやればOK」
「このキューが正解」
という考え方は通用しません。
時には、手探りで、
- この感覚はどうか
- このポジションは合っているか
- 今は違うアプローチが必要か
を確認しながら、その人にとって最適な感覚入力を一緒に探していく。
それもまた、ピラティスの大切なプロセスだと感じました。
まとめ|科学 × 経験 ×感覚
ピラティスは、
- 科学的根拠という「地図」
- インストラクターの経験という「知恵」
- クライアント様の感覚という「現在地」
この3つが重なって、初めて意味を持ちます。
講習会を通して、
「もっと正解を教えなければ」ではなく、
「もっと一緒に感じられるインストラクターでありたい」
そう思えるようになりました。
これからも、自分自身の身体で学び続け、
その経験を、目の前のクライアント様に還元していけるよう、
丁寧にピラティスと向き合っていきたいと思います。
