こむら返りのメカニズムを理解しよう|血流不良と電解質バランスの2方向から解説

夜寝ているときに突然ふくらはぎが「ギュッ」とつって激痛が走る…
そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
こむら返り(筋痙攣)は、単なる筋疲労だけでなく、体内の環境が複雑に絡み合って起こる現象です。本記事では、特に重要な①血流不良と②電解質バランスの乱れの観点からメカニズムを整理し、日常でできる予防策を紹介します。
① 血流不良が起こすこむら返りのメカニズム
筋肉が正常に働くには、酸素や栄養が十分に届けられることが必要です。ところが、長時間同じ姿勢でいたり、冷えや過度の緊張が続いたりすると、筋肉への血流が低下します。
血流が悪くなると、筋細胞に必要なエネルギー(ATP)が不足し、筋肉が収縮した状態を解除しづらくなってしまいます。
本来、筋肉は「縮む」「ゆるむ」を繰り返すことで動作を生み出します。しかし、ATPが不足すると「縮んだまま戻れない」状態に陥り、それが強い痛みを伴うこむら返りとして現れます。
特に以下のような場面で血流不良が起こりやすくなります:
- 長時間のデスクワークや立ちっぱなし
- 冷えや夜間の血流低下
- 運動不足によりふくらはぎの筋ポンプ機能が弱い
- 急な運動や疲労の蓄積
こうした要因が重なると、筋肉が過緊張を起こしやすくなり、こむら返りの発生リスクが高まります。
特に寒くなってきたこの季節は、こむら返りを感じる方は増える傾向にあります💦
② 電解質バランスの乱れ(マグネシウム・カルシウム・カリウム)
筋肉の収縮と弛緩には、電解質(ミネラル)が大きな役割を果たします。特に重要なのがマグネシウム、カルシウム、カリウムです。
● 電解質が筋肉に与える役割
- カルシウム:筋肉を「縮める」スイッチ
- マグネシウム:筋肉を「ゆるめる」スイッチ
- カリウム:筋細胞の電気的バランスを整える
電解質バランスが乱れると、筋肉が必要以上に興奮し、勝手に強く収縮してしまうことがあります。特にマグネシウムが不足すると筋肉をゆるめる仕組みがうまく働かなくなるため、こむら返りが起こりやすくなります。
ただし、ここで重要なポイントがあります。
マグネシウムは不足を補うと効果がありますが、「すでに適正量を摂れている人」に対して追加で摂っても、こむら返りを改善する効果はほとんどないと多くの研究が示しています
つまり、効果が期待できるのは「不足している人」の場合です。
● 不足しやすい人の特徴
- 野菜・海藻・ナッツ類をあまり食べない
- PPI(胃薬)や利尿薬を長期使用している
- アルコール摂取量が多い
- 汗をかきやすい、運動量が多い
- 高齢者
特にアルコールを毎日摂取している人は要注意です!
こむら返りを防ぐためのストレッチ
血流不良を改善し、筋の緊張を和らげるには、こまめなストレッチが非常に効果的です。
特にふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋は、こむら返りが最も起こりやすい部位です。
● 寝る前におすすめのストレッチ
- 壁に手をつき、片脚を後ろに引く
- かかとを床に押し付けるようにしてふくらはぎを伸ばす
- 反対側も同様に行う
- 1セット60秒、2〜3回が目安
ストレッチは血流改善だけでなく、筋肉の柔軟性を維持し、夜間のこむら返り予防に非常に有効です。
マグネシウム不足への対策|海藻・ナッツ類の摂取を推奨
マグネシウムはサプリでも摂取できますが、まずは食事からバランスよく取り入れることが推奨されます。特に海藻類とナッツ類は非常に効率の良いマグネシウム源です。
● 海藻類の例
- わかめ
- ひじき
- 昆布
- もずく
● ナッツ類の例
- アーモンド
- カシューナッツ
- くるみ
- ピスタチオ
これらは少量でもマグネシウムを効率よく摂ることができ、さらに食物繊維や良質な脂質も補えるため、健康メリットは大きいと言えます。
ただし繰り返しになりますが、マグネシウムは不足している人には効果があるものの、十分な量を摂れている場合は追加摂取してもこむら返りを改善する効果はほとんどありません!
まとめ|こむら返りは「血流」と「電解質」で予防できる
こむら返りは、血流不良によるATP不足、そして電解質バランスの乱れが大きく影響します。
ストレッチで筋肉をほぐし、海藻やナッツ類でマグネシウムを補うことは、体の内外からアプローチする有効な方法です。
そして、最も大切なのはご自身の生活習慣に気づくことです。
長時間同じ姿勢で過ごす、冷える、食事が偏る…その積み重ねが筋肉のトラブルにつながります。日々の小さな工夫でこむら返りは確実に減らすことができます。
筋肉を大切にし、快適な毎日を送りましょう!
