「運動神経が悪い」は誤解? 〜ボディーコントロールと身体認知で変わる動きの質〜

「自分は運動神経が悪いから…」そう思い込んでいませんか?
実は“運動神経”とは、才能ではなく身体を正確に感じ取り、コントロールする力のこと。
つまり、後天的にいくらでも育てることができます。

この記事では、「運動神経とは何か?」を脳と身体のつながりからひも解き、ボディーコントロール(身体操作能力)身体認知の観点で詳しく解説します。 さらに、ピラティスや神経筋トレーニングで運動神経を磨く方法も紹介します!


目次

1. 運動神経とは何か?

一般的に「運動神経」とは、スポーツが上手い・動きが速いといった能力を指しますが、実際には「神経伝達と身体感覚の連携力」を意味します。 脳が身体の状態を正確に把握し、目的に応じた筋肉を適切に働かせる能力です。

この仕組みは大きく次の3つに分けられます。

  1. 感覚入力(Input):身体の状態を知る力(位置・動き・圧力・バランスなど)
  2. 情報処理(Processing):脳がその情報を分析して判断する
  3. 運動出力(Output):筋肉に「どう動くか」を指令する

つまり「運動神経が良い」とは、感覚入力と運動出力の連携(ボディーコントロール)がスムーズであるということです。


2. ボディーコントロールとは?

ボディーコントロールとは、「身体を意識的かつ的確に操る能力」です。
単に筋肉を動かすだけでなく、「どの筋肉をどの順序で、どれだけ働かせるか」を脳で制御します。

ボディーコントロールの3要素

  • 安定性:動きの基礎となる体幹や姿勢の安定
  • 可動性:関節や筋肉が柔軟でスムーズな動作
  • 協調性:全身の筋肉を無駄なく連動させる

この3つの要素を統合的にコントロールできる人が、「運動神経が良い」と言われる人です。 ピラティスはこのボディーコントロールを高める代表的なメソッドであり、特に安定性と協調性に大きく関与するインナーマッスルをを神経レベルで育てていきます。


3. 身体認知とは?

身体認知とは、自分の身体が「どこに」「どんな状態で」「どのように動いているか」を感じ取る力です。 専門用語では固有受容感覚と呼ばれ、姿勢や動作を無意識に制御する上で欠かせません。

身体認知が低いと起こること

  • 動作に無駄な力が入る
  • 姿勢が崩れても気づかない
  • 怪我をしやすい(特に関節)
  • 「どこを使っているかわからない」感覚

これは「脳が身体を正しく感じ取れていない」状態です。
つまり、筋肉の問題ではなく感覚と運動のズレが原因なのです。

試しに固有受容感覚の評価をしてみよう!

~方法~
①目をつぶった状態で足を閉じて直立に立ちます
②両腕を肩の高さまで上げていきます(肘は伸ばしたまま)
③その時の、左右の腕の高さの違いを誰かにチェックしてもらう

この時に、腕の高さが異なっていたら少し感覚に鈍さがあるかもしれません


4. 運動神経を高めるために必要な3つのアプローチ

① 感覚入力を磨く

床の感触や重力の向きを感じるトレーニングを行います。
裸足でのバランス練習や、ピラティスのマットワークは神経受容器を刺激し、感覚入力を高めます。

◆ グラウンド・センシング

  1. 裸足で立ち、足裏のどこに体重がかかっているか感じる
  2. つま先・かかと・小指側・親指側に体重をゆっくり移動
  3. 最も安定する“重心の場所”を探す

この感覚を脳が学習することで、動作中の安定感が増します。
また、グラウンド・センシングを行う前に、テニスボールなど少し柔らかいボールを足裏で踏んで、足裏の筋肉をほぐしてあげると、より感覚入力がスムーズになります。


② ボディーコントロールを整える

動きをコントロールする力を育てるには、「ゆっくり動く」「呼吸を合わせる」ことが効果的です。 ピラティスでは、この神経−筋連携を最適化する練習を行います。

また、普段意識しない関節の分節的な運動の促しや、固定部位と可動部位を分けた”関節分離運動”もボディーコントロール能力を改善するのに有効です

固定部位と可動部位を分けた”関節の分離運動”
➡例)股関節・膝を固定した状態で足首を動かすetc.

関節の分節的な運動の促し
➡脊柱全体を動かす際に、背骨一つ一つを意識しながら動かしていく
 例)ロールダウン 下記参照

◆ ロールダウン(Roll Down)

  1. 立った姿勢で息を吸う
  2. 吐きながら、首→背中→腰の順に背骨一つ一つを動かしていくイメージで体をを丸めていく
  3. 吸いながらゆっくり起き上がる

この動作は、脊柱の細やかな動きを意識する練習であり、ボディーコントロールを高める代表的なエクササイズです。立った状態での実施が難しければ、座った状態で行っても大丈夫です!


③ 身体認知を再教育する

「自分の身体を感じる力」を高めるには、意識と感覚を一致させることが重要です。
ピラティスやヨガのように、“今、どこが働いているか”を確認しながら動くことで、脳の感覚マップが再構築されます。

◆ ボディスキャン(Body Scan)

  1. 仰向けで寝て、背骨全体のどこが床についているかを確認する(ストレッチポールを使用するのもおすすめです!)
  2. その状態で、上半身・腰を丸めたり、ひねったりして背骨の部分的な動きを感じ取ってみましょう

これを毎日5分程度行うだけで、身体認知力の向上が期待できると思います!


5. 「運動神経」は才能ではなく神経可塑性で育つ

脳と神経には可塑性があります。 つまり、繰り返し意識して動かすことで神経のつながりが強化され、動作がスムーズになります。 この原理に基づき、リハビリやスポーツトレーニングでは「神経筋再教育」という考え方が使われています。

ピラティスはまさにこのアプローチを実践的に行う方法。
「どの筋肉をどのタイミングで使うか」を意識的に練習することで、神経の伝達効率が高まり、運動神経の精度が格段に上がります。

なので、ピラティスを行うと体も疲れますが、頭をたくさん使ったという感想もよく聞かれます💦


6. ピラティスで運動神経が磨かれる理由

  • 全身の連動を学習できる:動作の流れを意識的に再構築する
  • 感覚入力と出力のバランスが整う:「感じる」と「動かす」の両方をトレーニング
  • 無意識の姿勢制御(フィードフォワード)を強化:動く前に体が自動で安定

結果として、スポーツや日常生活の中で「動きが滑らかになった」「転びにくくなった」といった変化が起こります。


7. 体験レッスンで「感じて動かす力」を実感してみよう

「自分は運動神経が悪い」と思っている方ほど、ピラティスを体験してほしい理由があります。
それは、動きの上手・下手ではなく、感じてコントロールする力を磨けるからです。

当スタジオでは、ボディーコントロール&身体認知向上レッスンも行っています
わずかな動きと呼吸の意識で、あなたの“運動神経”が確実に変わります。

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まとめ

運動神経は「才能」ではなく、「神経の使い方」です。
ボディーコントロールと身体認知を磨くことで、誰でもしなやかに、正確に動けるようになります。 ピラティスは、その“感じて動かす力”を呼び覚ます最適なトレーニングです。 今日から少しずつ、自分の身体と対話する時間をつくってみましょう!

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