産後のぽっこりお腹に悩む人へ!理学療法士が教える改善法

「骨盤矯正に通っているのに、お腹が戻らない」「体重は減ったのに、見た目がスッキリしない」
——もちろん骨盤の位置はとても重要です。しかし、その悩みは、実は骨盤だけでは説明できません。
本記事では理学療法士の視点から、産後のぽっこりお腹に隠された原因と、姿勢から整える改善法を詳しく解説します。
骨盤だけでは戻らない?「姿勢と呼吸」がカギ
骨盤の修正で体の土台を整えることは大切です。
しかし、ぽっこりお腹の原因はそれだけではありません。
妊娠・出産を経て肋骨や胸郭の位置が変わり、呼吸の仕方も変化します。
さらに、妊娠中は腹部が大きく膨らむため腹直筋が左右に引き伸ばされ、離開しやすくなります。
これによって筋肉の静止張力(常に保たれている張り)が低下し、腹部全体を覆う「張り」がなくなるため、皮下組織が弛みやすい状態になるのです。
この変化は骨盤だけのアプローチでは改善しにくく、姿勢・筋機能・呼吸まで含めた包括的なケアが必要になります。
胸郭・肋骨・体幹筋からくるぽっこりお腹
胸郭の開き
妊娠中に広がった肋骨が戻らず、胸が前に出た姿勢になると、腹圧がコントロールできません。また、横隔膜という呼吸筋を含む様々な呼吸筋の筋活動が産後姿勢では低下することが報告されています。これらの低下が直接姿勢に関与しているわけではありませんが少しでも腹圧や筋活動を増やしていくことが腹部の見た目や姿勢への良い影響を作ることにつながります。
骨盤底筋・腹横筋・腹直筋の機能低下
胎盤と胎児のボリュームによって腹部は頭、背中、足、お腹側にそれぞれの組織は引き延ばされます。そのため腹部に存在する腹横筋・骨盤底筋の機能低下に加え、腹直筋の張力低下が続くと、産後で胎児がいなくとも内臓が下垂しやすくなり、見た目にもふくらみが残ります。
姿勢の変化
反り腰や胸郭前方偏位、産後の代表姿勢であるスウェイバック姿勢(骨盤の後方に倒れ+猫背)により、腰部への過剰な伸張ストレスがかかり、腹筋群が本来の働きを発揮できなくなります。
こうした「骨盤+胸郭+腹部筋群」の連鎖的な機能低下が、ぽっこりお腹を長引かせる大きな要因です。
改善の第一歩は「正確な評価」から
「何回も骨盤矯正を受けても戻ってしまう…」
その理由は、原因を部分的にしか捉えていないからです。
当店の評価では産後姿勢改善の方には次のような項目をより細かく確認します。
- 骨盤の傾きと左右差
- 胸郭角度・肋骨の開き具合
- 呼吸パターン(胸式か腹式か)
- 腹横筋・骨盤底筋・腹直筋の張力と機能
- 姿勢全体の軸の崩れ
筋力そのものよりも、「姿勢と静的バランス」の崩れがぽっこりお腹に強く関係することを明確にします。
ぽっこりお腹を整える3ステップ改善法
ステップ① まずは骨盤・胸郭・体幹のバランスを整える
関節・筋膜を安全に調整し、筋活動の左右差を改善。体の軸を正しい位置へ導きます。
ステップ② 運動療法で筋と呼吸を再教育する
腹横筋・骨盤底筋・横隔膜・腹直筋を連動させることで、姿勢と呼吸のバランスを取り戻します。整えた姿勢を維持することのほかに、産後特有の恥骨部痛や腰痛、尿もれ症状にも運動療法は高いエビデンスが出ています。
当店ではご来店された方1人1人にカスタマイズされた運動療法メニューを直接指導+家族へのサポート指導+パンフレットや動作としての提供でしっかりと定着できる様徹底サポートいたします。
ステップ③ 正しい姿勢と呼吸を日常に定着させる
日常動作(立つ・座る・歩く)の中で正しい体幹の使い方を習慣化し、これは先に説明した運動療法で習慣化への運動パターンへと改善が可能です。
👉 「その場で痛みや姿勢を改善する」だけではなくしっかりと運動学習のメカニズムとエビデンスから再教育を行うことで、ぽっこりお腹を根本から整えられます。
自宅でできる胸郭・肋骨セルフケア
胸を開くストレッチ
床で両手を広げながら、膝を立てて立てた膝を左右に倒します。その時には。肋骨の可動性を高めるのが目的です。

胸郭呼吸の練習
仰向けで両手を肋骨の横に添え、息を吸うときに肋骨が横に広がる感覚を意識。吐くときは肋骨が自然に戻るようにします。

骨盤と背骨の運動
四つ這いの状態で骨盤を前後に動かしながら合わせて背骨も動かすことが重要です。産後は胎児の影響と育児負担の影響で本来の背骨-骨盤のバランスが保たれません。そのためにもしっかり連動させて全体を動かす様に意識しましょう。
👉 このセルフケアで、腹筋群や呼吸筋が再び機能的に働く「ベース」を整えることができます。

よくある質問(Q&A)
Q1. 骨盤矯正と言われるものだけではダメですか?
A. 骨盤を整えることも大切ですが、肋骨や姿勢、腹直筋の張力が整わなければ腹圧コントロールができず、見た目が戻りません。しっかりと整えた姿勢が維持できる筋張力をつけていくことが重要です。
Q2. どれくらいで変化が出ますか?
A. 姿勢や筋機能の状態により個人差がありますが、さまざまな論文や論文をまとめたレビューを見てみると2〜3ヶ月で見た目の変化を実感される方が多いです。
Q3. 帝王切開でも可能ですか?
A. 体調に合わせた安全な方法で対応できます。傷周囲の緊張も改善対象です。
Q4. トレーニングが苦手でも大丈夫ですか?
A. 呼吸と姿勢の改善がメインなので、難しい筋トレは不要です。ただし、腹直筋群の張力回復や体型改善の最終段階では軽い筋トレやダイエットが重要になることもあります。
まとめ|骨盤だけでなく“筋と姿勢全体”を整えることが真の改善へ
- 産後のぽっこりお腹は骨盤だけが原因ではない
- 胸郭・呼吸・体幹筋(特に腹直筋)の張力低下が大きく関与
- 理学療法士による評価と姿勢改善で根本から解決できる
- 姿勢と呼吸を整えることで見た目の印象も大きく変わる
そして、体を本来のラインに戻すには、最終的に筋肉そのものの強さと引き締まりも必要になります。
次回のブログでは、ぽっこりお腹改善の“仕上げ”となるダイエット・筋トレの正しい考え方と始め方を詳しく解説していきます。少しでも自分を「変えたい」と感じている方はお近くの整体や当店にご相談ください。
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